暑い夏となりました。
今日から甲子園高校野球大会です!
(画像引用:阪神球場)
さて、大学と大学生と企業の3者を結ぶ情報会社、リクルートキャリアがまた勇み足です。
競争が激しい情報業界においては、企業のニーズをつかみ一歩でも速く商品化しようとするあまり、個人情報の取り扱いにおいて不備が生じるのでしょう。
結果として、情報化の波に弄ばれる学生たちが気の毒です。
この学生たち、一時前は「被害者」と呼ばれていたことでしょうが、現代は単なる「学生の皆さま」と呼ばれるにすぎません。
不正を糾弾すべき社会の目が緩やかになってきたからだと思います。
この隙をついて人間をデータ化し商品として販売する企業にとっては、「やりやすい時代の到来」ですね。
困ったものです。
内定辞退学生を予測し、企業に販売
まずは、共同通信(KYODO8月1日20時42分配信)記事の一部を記します。
就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京)が、就職活動中の学生が「内定を辞退する確率」をさまざまな個人データから人工知能(AI)で予測し、本人への十分な説明なしに企業に販売していたことが1日、分かった。 以下、略。
【少しだけ解説を加えますと・・・・・】
A社は学生を自社に引き留め内定を出し入社にこぎつけたいのですが、学生はA社の内定をもらった後も就職活動を続け何社もの面接を受けているのが実情です。
学生は、入社希望度の高いB社に内定をもらった途端、A社の内定を辞退することになります。
A社側からしますと、結果として内定を辞退する学生に対して過剰な労力をつかう無駄をなくしたいと思うのも当然です。
speedひかし、内定を出した学生が入社に結びつくのかは、当年度については蓋を開けるまで分かりません。
ここでリクルートキャリアが考え出したのが、前年度の学生の就職活動動向をデータベース化し、当年度の学生に当てはめて「内定辞退予測」を出すこと。
まるで選挙結果の当選確率を予測するみたいですね。
結果として7983人の学生データが38社に渡りました。
企業側としては、内定辞退する可能性が大きいと予測された学生に対して、辞退されないように連絡を密に取るなどの判断根拠が得られることとなります。
なお、この内定辞退確率情報ですが・・・・・
リクルートキャリの説明では、情報はリクナビの閲覧データをもとに算出したスコアであり、学生の能力を推し量るものではないとのこと。
また、「提供された情報を、合否判定に活用しないことに同意した企業にのみ提供していた」ということです。
事実ならば安心なのですが、、、、。
(画像引用:Yahooニュース)
リクルートキャリアのプレスリリースでは、
リクルートキャリアサイトの記事アドレスを記します。
8月1日
8月5日
『リクナビDMPフォロー』における学生7983名を対象としたプライバシーポリシー同意取得の不備と、サービスの廃止につきまして
8月5日付け記事では、次のことが書かれています。
【当社の認識欠如についてのお詫び】
略
今回、多くの関係者の皆さまから、さまざまなご指摘をいただきました。何よりも学生の皆さまの「不安」「怖い」「裏切られた」といった言葉に触れることで、学生の皆さまの心情に対する当社の認識欠如こそが、根本的な課題であると認識するに至りました。
特に、学生の皆さまにとっては初めての就職活動だからこそ、不安や戸惑いを感じられることも多く、本来であれば学生の皆さまの視点に十分に寄り添うことを第一にすべきだったと重く受け止めております。学生の皆さまの心情やご状況を十分に踏まえたサービス設計・経営判断ができていなかったという強い反省のもと、今後、リクナビなど新卒学生向けサービスの在り方を、抜本的に変えていく所存です。
二箇所を太字としましたが、この2点こそ、情報を扱い新規サービスを構築する企業が欠いてはいけない一番重要なことだと考えます。
人生に一回しか体験することのない新卒就職活動。
不安を深めることがあってはいけません。
大学時代までの体験を再構築し真っ新な気持ちで新天地に歩みだす姿は、解体工事と更地の再利用をおもい起こさせます。
以下は、ご参考まで。
2015年発生、リクルートキャリアによる個人情報約3万7千件誤送信事件
(「サイバーセキュルティー.com」 2017.07.27)
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