こんにちは。
令和時代になり早々に設立した法律の一つが「大学等における就学の支援に関する法律(通称「大学無償化法」)」です。
(この件につきましては、私は「3.大学授業料減免は、大学に負担させよ」で昨年6月に触れています)
「大学無償化法」について、世間、特に受験生と親においては、つぎの2点に関心が高まっています。
・「どんな入学生・在学生が支援対象となるか?」
・「支援内容は?」
大学側にとっての重要関心項目
しかし、大学側からしますと、次の1点のみが重要関心事です。
・「どんな大学ならば、無償化支援対象となるか(大学にとっての必要要件は?)」
文部科学省は、次のように説明をしています。
対象となる大学等の要件
Q 対象となる(機関要件を満たす)大学等のリストは、いつ頃公表されますか。
A 本年9月中下旬を目途に公表したいと考えています。※ 対象となる大学等の要件に関しては、「機関要件の確認事務に関する指針(2019年度版)(案)」において、機関要件に関するQ&Aを掲載しています。
(以下は、文部科学省サイトのリンクです。
「高等教育段階の教育費負担軽減」の「高等教育段階の教育費負担新制度に係る質問と回答(Q&A)」の下段)
この「機関要件の確認事務に関する指針(2019年度版)(案)」の内容をまとめますと(CLABEL引用)、無償化の対象となる大学には、次の4点が求められていることが分ります。
大学の要件
1.
実務経験のある教員による授業科目が標準単位数(4年制大学の場合、124単位)の1割以上、配置されていること
2.
法人の「理事」に産業界等の外部人材を複数任命していること
3.
授業計画(シラバス)の作成、GPAなどの成績評価の客観的指標の設定、卒業の認定に関する方針の策定などにより、厳格かつ適正な成績管理を実施・公表していること
4.
法令に則り、貸借対照表、損益計算書その他の財務諸表等の情報や、定員充足状況や進学・就職の状況など教育活動に係る情報を開示していること
経営に課題のある法人の設置する大学の扱い
・法人の貸借対照表の「運用資産-外部負債」が直近の決算でマイナス
・法人の事業活動収支計算書の「経常収支差額」が直近3カ年の決算で連続マイナス
・直近3カ年において連続して、在籍する学生数が各校の収容定員の8割を割っている場合
大学にとって厳しい課題
前章の経営に課題のある法人の設置する大学の扱い(朱文字)が、大学にとっては厳しい課題となります。
私が想像するに、わけても
「・直近3カ年において連続して、在籍する学生数が各校の収容定員の8割を割っている場合」
が厳しいと考えます。
全国に750以上ある大学のうち、100校程度が「在籍学生数が収容定員の8割に満たない」と聞くからです。
いわゆる「定員割れ大学」=「学生からの人気がない大学」です。
(ある調査では、762大学中、在学生数が定員の8割未満は109校)
もしも自らの大学が「大学無償化の要件に達しない学校である」ということになりましたら、受験生の評判は更に下がることでしょう。
大学が「経常費補助金で不利になる」ということがありましても、そのような情報は受験生には興味がなく見えないことです(大学サイトの情報公開ページには公開されています)。
しかし、「大学無償化の対象外の大学である」とされますことは、受験生からも見えやすい事柄です。
さて、収容定員を在学生数で充足させるためには、二つの方法があります。
1.大学を良くし、受験生の人気を上げ、受験生(在学生)を増やす。
2.収容定員数自体を減らす。
数字上の定員充足率を8割までに上げるため、2番目の禁じ手を使う大学も出てくるかもしれません。
困った大学ですが、ありそうです。
邪推すれば、文部科学省は「大学無償化」によって、大学の選別淘汰を図っているのかもしれませんね。
在籍学生数が収容定員の8割に満たない大学は、2020年4月に間に合わなくとも、短年で無償化の対象となるよう、良い大学作りを今日から目指して欲しいです。
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