8.新学部の作り方と官僚の天下り

こんにちは。

昨日3月24日、桜を観ました。

禅寺のお庭で。

 

 

(画像引用:公益財団法人「日本さくらの会」

 

今回は、新しい学部を作る過程を簡潔に記します。

 

新学部の作り方

 

まずは、次章の大学を設置するための概要をご覧願います。

 

大学設置認可制度の概要

 

大学設置認可制度の概要を記します。

 

公私立大学等を設置する場合には,学校教育法,私立学校法の規定により,文部科学大臣の認可が必要となっています。
文部科学大臣は認可を行う場合には,大学設置・学校法人審議会に諮問しなければならないこととされています。

大学設置認可・届出制度の流れ図

(画像引用:文部科学省の高等教育局高等教育企画課大学設置室のページ

 

新学部設置認可申請書類

 

申請するにはどのような事項(準備)が必要かということを記すよりも、申請時に必要な書類一覧を羅列します。

その方が事務の大変さと実態がご理解しやすいと思ったからです。

 

一例として、富山県立大学看護学部を記します。

(この大学を記しますのは無作為・任意です。該当大学が文部科学省サイトの一番上に載っていましたので)

 

 

以下が提出書類一覧です。

(1)基本計画書(別記様式第2号)

(2)校地校舎等の図面

(3)学則

(4)趣旨等を記載した書類①    

(5)学生の確保の見通し等を記載した書類①    

(6)教員名簿

(7)審査意見への対応を記載した書類(6月)

(引用サイト:富山県立大学看護学部の学部等設置認可申請書(平成30年8月)

 

何か他に大切なことがあるような・・・・

 

学生数を増加させようなどの安易な気持ちで法人が新学部を設置することは、学生への不利益となります。

また、日本における大学の価値が世界と比して下がることのもつながります。

しかしながら、学校設置・学校法人審議会が申請者に求める申請書が現実とあまりにも乖離しているのではないか、すなわち形式倒れの書類づくりのための申請書になっているのでははいかと危惧します。

 

 

官僚の私学への天下りと莫大な「大学の設置等書類」
【2021年9月30日 追記】

 

「申請書記入の手引」をご覧になるだけでも、その事務量が見て取れると思い、文部科学省のサイトをこの章で記します。

 

その前に、、、思いだしてください。

早稲田大学が文部科学省吉田大輔高等教育局長を不正に採用したことがありましたね。
(高等教育局は大学の設置認可や私学の補助金交付などを所管する部署です)

『元局長が所属していた高等教育局は大学の設置認可や私学の補助金交付などを所管していた部署。私学の雄である早大と言えども、逆らうことはできない。
「とにかく文科省の担当者は横柄ですよ。たとえ20代の若い人であっても文句は言えません。命令口調で頼んできて、こちらがお願いしたことは平気ですっぽかす。監督官庁ですから仕方がない」(大学関係者)』
exiteニュース「文科省天下りで露呈 早稲田大学「学問の独立」は“補助金”頼の堕落」(2017年2月1日 17:00)を引用しました。

HAFFPOST「文科省「天下り」あっせん、早稲田大が口裏合わせに応じていた 鎌田総長は「癒着はない」と釈明」(更新 2017年01月22日 22時09分 JST

日本経済新聞「文科省元局長が早大教授辞職 総長陳謝「理解不足」」https://www.nikkei.com/article/DGXLASFK20H3K_Q7A120C1000000/

NHKクローズアップ現代「いまなぜ? 官僚“天下り”問題ふたたび」(2017年1月23日(月)放送)

文部科学省「文部科学省における再就職等規制違反について 」および「大臣訓示」(平成29年1月20日)

文部科学省再就職等問題調査班「文部科学省における再就職等問題に係る調査報告(中間まとめ)」(平成29年2月21日)

文部科学省再就職等問題調査班「文部科学省における再就職等問題に係る調査報告(最終まとめ)概要(2017年3月30日)」

文部科学省再就職等問題調査班「文部科学省における再就職等問題に係る調査報告(最終まとめ)本文(2017年3月30日)」

文部科学省における再就職コンプライアンスの取組

 

以下は、文部科学省のサイト構造です。

 

1.「申請・届出書類作成の手引、記入様式など」

2.「大学の設置等に係る提出書類の作成の手引(令和5年度開設用)」

 

以下に、2番目の項目「作成の手引き」のコピーのみを貼ります。

この「作成の手引き」だけでも300ページ程度あります。

莫大な事務量が大学に求められることがお分かりいただけるかと思います。

高等教育局高等教育企画課大学設置室

 

このように、申請書の作成方法でさえ、莫大な「手引き」を読みこなさなければいけません。
ましてや、申請書の重要点・申請が通るか否かの「肝」を知るには、申請事務に長けた文部科学省OBを採用したい心情が分かります。

また、競争的研究費の獲得ノウハウをどの大学も欲しいところです。

それを善しとは申しませんが、官僚の力と社会構造が明確に示された事例だと思いましたので、この章を追記しました。

 

 

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