22.少子高齢化を防ぎたいならば、大学生に借金を負わすな。

こんにちは。
お久しぶりです。

 

今回は大学生の奨学金等支援制度と少子高齢化との関連について記します。

 

 

(画像引用:厚生労働省サイト「我が国の人口について」

 

 

結論を先に申します。

大学生全員を奨学金等支援制度の対象とするのが良い。

これによって、大学生は「貸与奨学金という名の借金」を背負うことなく卒業ができ就職できる。

20歳台で金銭的な余裕ができることは、初婚年齢が下がる効果をもたらし、結果として出産数が増える。

このことは、少子高齢化対策に資すこととなる。

奨学金等支援制度が増額となるが、少子高齢化対策となるので、この増額はいずれ日本の富に還元される。

 

※ 結婚出産を国家経済の視点で書いております。この視点をご不快にお感じの方には失礼します。

 

 

1.高等教育機関の在籍学生数について

 

まずは、高等教育機関に在籍する学生数を調べました。

(元資料→「令和3年度学校基本調査」文部科学省総合教育政策局調査企画課」)

 

 

結果、4年制大学・大学院・短期大学・高等専門学校・専門学校の在籍生の合計は、368万4,164人です。

(内訳)

・4年制大学の学部学生・・・262万5,688人

・大学院生・・・25万7,128人

・専攻科・別科・科目等履修生・聴講生・研究生・・・3万5,182人

(以上が「大学」区分・・・小計291万7,998人)

・短期大学生・・・10万2,232人

・高等専門学校生・・・5万6,905人

・専門学校生・・・60万7,029人

 

 

2.「給付型奨学金」と「授業力・入学金の免除/減免」の金額について

 

次に「給付奨学金」と「入学金の免除と授業料の減免」の金額を調べました。(元資料と画像引用→「給付奨学金(返済不要):日本学生支援機構

 

 

支援される対象は「世帯収入や資産の要件を満たしていること」との記載と伴に「住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯」という追記が日本学生支援機構のリーフレットにありました。

このブログでは、便宜的に、年収の目安が第Ⅲ区分(300万円~380万円以内)の対象者の支援額を採ることとします。
(世帯年収の中央値は437万円(参考元→厚生労働省「国民生活基礎調査」の所得の分布状況)ですので、中央値と近い第Ⅲ区分(300万円~380万円以内)を採りました)

この結果、学生一人当たりの「給付型奨学金は約30万円、授業料減免は約23万円となり、支援額の合計は約53万円」となります。

 

@53万円×368万4,164人=約2兆円!

2兆円と言えば、一年間のGDPの3%~4%です。

この「投資」によって少子化に歯止めがかかるならば、年間2兆円は日本の将来にとって安い投資です。

 

と私は考えるのですが、いかがでしょうか?

 

 

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22.少子高齢化を防ぎたいならば、大学生に借金を負わすな。

21.接待汚職で懲戒処分を受けていた文部科学事務次官の経歴

20.戸倉俊一文化庁長官と思春期

19.教員免許更新制、2023年度から廃止(文部科学大臣が表明)

18.「ことわざ」から大学運営を問う

17.教員免許更新制、廃止の方向へ

16.懲戒後の人事:室伏広治スポーツ庁長官を支える次長

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

13.入学定員の厳格化で救われた不人気大学

12.新自由主義を取り入れた大学の失敗

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方と官僚の大学への天下り

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

 

 

21.接待汚職で懲戒処分を受けていた文部科学事務次官

こんにちは。

秋ですねえ。

朝夕は過ごしやすくなったものの、日中は汗をかきます。

体温調整がむづかしい時期ですが、お元気でお過ごしのことと思います。

 

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【目次】

1.減給懲戒を受けた官僚が文部科学事務次官に就任

2.義本博司文部科学次官の経歴

3.今までの投稿一覧

 

1.減給懲戒を受けた官僚が文部科学事務次官に就任

 

現在の文部科学事務次官は、義本博司氏。

本年2021年9月21日付の発令ですから、1週間経ったところですね。

この藤本氏は、約3年前の高等教育局長時代に民間から接待を受け減給処分を受けていました。

減給処分を受け実質上の更迭となった大学センター出向となった3年後にトップとして返り咲いたことになります。

さて、義本博司氏については、東京オリンピックボランティア募集と大学学事暦の件で、1年前にブログに記してきました。

ご覧いただけましたら幸いです。

「14.オリンピックボランティア配慮を大学に通知した高等教育局長は今?(2020年10月15日)」(懲戒ニュース付)

 

 

以下は、『NHK NEWSWEB  』からの引用です。

「文部科学省 新事務次官に義本博司氏起用」

政府は、14日の閣議で文部科学省の新しい事務次官に義本博司・総合教育政策局長を起用する人事を決めました。

文部科学省の藤原誠事務次官の退任に伴って、新しい事務次官に決まった義本氏は59歳。

昭和59年に旧文部省に入り、高等教育局の高等教育企画課長や大臣官房の会計課長、総括審議官を務め、大学入試センターの理事を経て、ことし1月からは総合教育政策局長を務めています。

一方で、高等教育局長在任中の平成30年には文部科学省の接待汚職事件をめぐって減給の懲戒処分を受けました。

この人事は今月21日付けで発令されます。

以上

 

なお、義本氏が大学センター理事から本庁の局長に復帰した事情は、次の記事を。

 

「「高額接待」の文科局長 人材難で異例の本省復帰」

文部科学省から大学入試センター理事に出向していた義本博司氏(1984年旧文部省入省)が、1月1日付で総合教育政策局長として本省に復帰した。
義本氏は、18年に科学技術・学術政策局長(当時)が逮捕された贈収賄事件に絡み、戸谷一夫事務次官(同)とともに贈賄側の業者から高額接待を受けていたことが発覚し、懲戒処分を受けた。
翌19年1月の大学入試センターへの出向は「事実上の更迭」と見られていた。

復帰の背景にあるのは、幹部候補の人材難だ。
17年に発覚した天下り斡旋(あっせん)問題に始まり、加計学園の獣医学部新設を巡るゴタゴタ、前述の贈収賄事件と相次ぐ不祥事に見舞われた文科省。
義本氏を含めて多くの幹部が傷を負う結果となり、トップを担える人材の層が薄くなってしまった。(以下は有料記事につき略)

エコノミストOnline「「高額接待」の文科局長 人材難で異例の本省復帰」2021年2月8日

 

ちなみに、同事案で減給2か月の懲戒を受け辞任した元初等中等教育局長の高橋道和(みちやす)氏は、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の職員でした。
朝日新聞デジタル「不適切接待で処分の前文科省局長、五輪組織委に採用」(2019年1月4日 15時47分)

 

同じく懲戒3か月の懲戒を受けて辞任した元事務次官の戸谷一夫氏の現在は、

2019年6月27日半導体エネルギー研究所取締役。2019年9月1日高砂熱学工業顧問。2019年12月光エンジニアリングサービス特別顧問。2020年材料科学技術振興財団理事長、獨協国際医学教育研究財団顧問、玉川大学学術研究所先端知能・ロボット研究センター(AIBot研究センター)教授。

ウィキペディア「戸谷一夫」

 

2.義本博司文部科学次官の経歴

 

義本氏の経歴については、以下の通りです。

 

→1984年旧文部省入省

→2017年7月 高等教育局長就任
 (この期間中に医療会社元役員から接待を受け2018年9月減給処分)

2019年1月 大学入試センターへ出向し理事就任

→2021年1月 総合教育政策局長就任

→2021年9月 文部科学事務次官就任

 

細かな就任履歴は、

義本博司
昭和36年12月20日生男
出身地 京都府
最終学歴 京都大学法学部(昭和59年03月)
採用 国家上級甲 (法律)文部省採用

福岡県教育委員会指導第二部義務教育課長
文部省学術国際局国際企画課専門員
外務省在フランス曰本国大使館一等書記官
文部省大臣官房総務課審議班主査
文部省高等教育局視学官
(併)内閣事務官(内閣官房内閣内政審議室)
(併)内閣官房中央省庁等改革推進本部事務局企画官
文部省大臣官房総務課課長補佐
(命)文部省文部大臣秘書官事務取扱(大島理森文部大臣)
文部科学省生涯学習政策局政策課生涯学習企画官
文部科学省大臣官房企画官
文部科学省初等中等教育局幼児教育課長
文部科学省大臣官房総務課広報室長
厚生労働省雇用均等”児童家庭局保育課長
文部科学省高等教育局大学振興課長
文部科学省高等教育局高等教育企画課長
文部科学省大臣官房会計課長
文部科学省大臣官房審議官(初等中等教育局担当)
(併)内閣府大臣官房審議官(共生社会政策担当)
(併)内閣府子ども・子育て支援新制度施行準備室次長
文部科学省大臣官房審議官(高等教育局担当)
(併)内閣官房副長官補付
(命)内閣官房日本経済再生総合事務局次長
文部科学省大臣官房総括審議官
文部科学省高等教育局長
(併)内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)
(命)内閣官房人生100年時代構想推進室長代行補
(命)内閣官房一億総活躍推進室長代理補
(命)内閣官房働き方改革実現推進室長代行補
(独)大学入試センター理事

参考元→「大学センター理事の略歴書」

 

さすがは、霞が関。

約1年ごとに部署が異動するのですね。

メリットは、鳥瞰する分析力と大局観が身に付くことでしょう。

しかし、現場感覚の感度は、個人のお人柄と誠実さによると思います。

「見て見ぬふりができない事柄」に出会った時に、部署が異動となれどもその事柄をライフワークの核とする熱意を持続いただきたいものです。

 

 

今までの投稿一覧

 

21.接待汚職で懲戒処分を受けていた文部科学事務次官の経歴

20.戸倉俊一文化庁長官と思春期

19.教員免許更新制、2023年度から廃止(文部科学大臣が表明)

18.「ことわざ」から大学運営を問う

17.教員免許更新制、廃止の方向へ

16.懲戒後の人事:室伏広治スポーツ庁長官を支える次長

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

13.入学定員の厳格化で救われた不人気大学

12.新自由主義を取り入れた大学の失敗

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方と官僚の大学への天下り

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

 

 

 

 

 

 

20.戸倉俊一文化庁長官と思春期

こんにちは。

(アイキャッチ画像引用:CINEMORE

 

現在の第23代文化庁長官は、作曲家の戸倉俊一氏(とくらしゅんいち)です。

日本音楽著作権協会(JASRAC)の会長に、2010年8月 から2016年3月まで就いていました。

 

さて、

このブログ、

しばらく文部科学省批判っぽい内容が続きましたので、

今回は柔らかい話を記します。

(批判ではなく、私は応援のつもりでもあったのですが)

 

あ、内容は、戸倉氏が作曲し歌を提供した歌手、山口百恵氏の歌詞についてです。

(作曲:戸倉俊一 作詞:千家和也)

 

(画像引用:ソニーミュージック)

 

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【目次】

1.1973年、花の中三トリオ

2.青い果実

3.禁じられた遊び

4.ひと夏の経験

5.1990年、おニャン子クラブの「セーラー服を脱がさないで」

6.まとめ

7.今までの投稿一覧

 

1.1973年、花の中三トリオ

 

山口百恵さんは、森昌子さんと桜田淳子さんとともに「花の中三トリオ」と呼ばれていました。

1973年のことです。

 

1973年という時代は、→「年代流行1973(昭和48)」

 

「新御三家」と呼ばれた男性歌手は、野口五郎さん・西城秀樹さん・郷ひろみさんです。
女性歌手は、天地真理・小柳ルミ子さん・南沙織さんさんかな?

 

(画像引用:ソニーミュージック)

 

 

ちなみに、村上春樹氏の二作目『1973年のピンボール』は、1980年の出版です。

 

(画像引用:講談社ブック倶楽部)

 

 

 

.青い果実

 

♪ あなたが望むなら 私何をされてもいいわ ♪

♪ いけない娘だと 噂されてもいいわ ♪

 

当時思春期だった私には、ちょっと、いや、かなり刺激が強かったです。

 

3.禁じられた遊び

 

♪ 恐くない ah ah ah 恐くない ♪

♪ あなたとだったら 何でも出来る ♪

 

♪ 惜しくない ah ah ah 惜しくない ♪

♪ あなたが望めば 何でも出来る ♪

 

恐いよー、何でも出来るって?

 

4.ひと夏の経験

 

♪ あなたに女の子の一番 ♪

♪ 大切なものをあげるわ ♪

 

♪ 誰でも一度だけ 経験するのよ ♪

♪ 誘惑の甘い罠 ♪

 

一度だけって、どんな意味なのさ?

 

5.1990年、おニャン子クラブ「セーラー服を脱がさないで」

 

 

♪ セーラー服を 脱がさないで ♪

♪ 今はダメよ 我慢なさって ♪

♪ 嫌よダメよ こんなところじゃ ♪

 

これは、秋元康氏の作詞、佐藤準氏の作曲です。

 

6.まとめ

 

文部科学省→文化庁→戸倉俊一文化庁長官・作曲家→山口百恵の歌詞→思春期という流れで、ここまで参りました。

何を言いたいかと申しますと、思春期は辛いものだということです。

「何とか乗り超えろ、思春期!」。

お粗末様でした。

 

 

 

7.今までの投稿一覧

 

20.戸倉俊一文化庁長官と思春期

19.教員免許更新制、2023年度から廃止(文部科学大臣が表明)

18.「ことわざ」から大学運営を問う

17.教員免許更新制、廃止の方向へ

16.懲戒後の人事:室伏広治スポーツ庁長官を支える次長

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

13.入学定員の厳格化で救われた不人気大学

12.新自由主義を取り入れた大学の失敗

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方と官僚の大学への天下り

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

19.教員免許更新制、2023年度から廃止(文部科学大臣が表明)

こんにちは。

「教育免許更新制」について、萩生田光一文部科学相は「早ければ2023年度から廃止する方針」を8月23日に表明しました。

実に結構なことです。

 

この件については、7月13日のブログに記しましたので、ご覧いただけましたらと思います。
「17.教員免許更新制、廃止の方向へ」

 

なお、廃止の会見は、いずれ次の文部科学省のサイトに大臣会見が載ることでしょう。
「萩生田光一 文部科学大臣の会見」

 

【目次】

1.教員免許の更新制廃止へ 人手不足や負担増の一因と不評(朝日DISITAL記事)

2.免許更新制の廃止について。私の考え

3.歴代文部科学大臣の一覧と田中真紀子氏提案の「介護等の体験」

4.今までの投稿一覧

 

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1.教員免許の更新制廃止へ 人手不足や負担増の一因と不評

 

2021年8月23日の朝日新聞DIGITALを以下に引用します。

 

教員免許の更新制廃止へ 人手不足や負担増の一因と不評

伊藤和行コメントコメント1

教員免許に10年の期限を設け、更新前に講習を受けないと失効する「教員免許更新制」について、萩生田光一文部科学相は23日、早ければ2023年度から廃止する方針を表明した。教員の資質確保を目的に第1次安倍政権時代に法改正され09年度に始まったが、教員不足や負担増の一因と指摘されていた。文科省は来年の通常国会で廃止に必要な法改正をし、23年度にも新たな研修制度を始める。それまでに期限を迎える免許は更新の必要がある。

文科相の諮問機関・中央教育審議会の委員会が23日、「新たな教師の学びの姿の実現に向け、更新制を発展的に解消することを文科省が検討することが適当」と結論づけたのを受け、萩生田氏が会見。廃止という言葉は使わず、「一定の成果はあったが、多忙を極める先生にとって、講習の中身が十分伴っていなかったことが問題だった」と話した。文科省は更新制の代わりに、都道府県教育委員会が行う教員研修やオンライン研修の拡充のほか、研修履歴の記録管理の義務化を検討している。

更新制は、無期限だった幼稚園や小中高校などの教員免許に10年の有効期限を設け、期限が切れる前の2年間で最新の知識や技能などを学ぶ講習を30時間以上受け、修了認定されなければ失効する仕組み。中教審が提言し、第1次安倍政権教育再生会議が「不適格教員に厳しく対応を」と厳格な修了認定を求め、07年に教育職員免許法が改正されて09年度に始まった。

しかし導入前から、教員の身分が不安定になり、人材不足や多忙化を招くと懸念されていた。実際、学校側が育休や産休をとる教員の代わりを探しても、免許が未更新のため、すぐに任用できないなど、なり手不足の一因となっている。現職教員が更新を忘れる「うっかり失効」も相次ぎ、免許を管理する都道府県教委や学校長からも制度廃止を求める声が高まっていた。

萩生田氏は3月、中教審に更新制の「抜本的な見直し」を諮問し、早期に結論を出すよう要望していた。(伊藤和行)

 

 

2.免許更新制廃止について。私の考え

免許更新制の概要と私の考えについては、前述しました通り7月13日のブログに記しましたので、ご覧いただけましたらと思います。
「17.教員免許更新制、廃止の方向へ」
とにかく、ホッとしました。
【2021年8月26日 追記】
今朝、NHKのラジオ第一を聞いていました。
流されていた曲は、ローリングストーンズの「黒く塗れ(Paint It, Black)」。
聴いていて、嫌なことが思い浮かびました。
「教員免許更新制は廃止するが、更なる縛りを教員に課すのではないだろうか?」という疑問です。
さて、産経新聞のネットニュース(2021/8/23 19:52)を抜き出してみよう。

>新たな制度には、各教員ごとに研修履歴を記録して管理。個々の能力を引き出すための必要な研修を受けられる「オーダーメード」が可能になる制度設計を目指す。また、期待される水準に達していないと判断された教員には職務命令で研修を受けることを求める仕組みを盛り込み、場合によっては免許停止などの措置も検討する。

文末の「免許停止などの措置も検討する」。
免許停止措置が制度化されるならば、怖ろしい話です!

一方、今でも文部科学省の免許更新制サイトの目的欄には、
>※ 不適格教員の排除を目的としたものではありません
という一文が載っています。
いったい、どっちなんだ?

3.歴代文部科学大臣の一覧と田中真紀子氏提案の「介護等の体験」

 

以下は、歴代文部科学大臣の一覧です。

(文部卿と文部大臣は省略します)

と、おまけのつもりで歴代文部科学大臣一覧を記しましたところ、

一覧の中から「田中真紀子」の名前を見つけ、かつての嫌なことを思い浮かべました。

嫌なこととは、田中真紀子氏が議員立法として提出し成立した、小中の教員免許を取得するために必修となる「介護等の体験」です。

介護等体験とは、特別支援学校で2日間、社会福祉施設で5日間、合計7日間「体験」をするというものです。

つぎの3点で私は疑義を持ちました。

1.学生を受け入れる特別支援学校と社会福祉施設の労力が大変である。

2.免許を取得しても教員にならない学生が多いのが実情である。教員採用試験さえ受けない学生が多く。ならば、教員になった人のみが体験すればよい。

3.なぜ、介護等体験なのか? インターンシップで民間企業を知るのも良いのではないか?

今回は、「おまけ」の章ですので、この議論はいつかの機会にと思います。

 

1 町村 信孝 平成13年 1月 6日〜平成13年 4月26日
2 遠山 敦子 平成13年 4月26日〜平成15年 9月22日
3 河村 建夫 平成15年 9月22日〜平成16年 9月27日
4 中山 成彬 平成16年 9月27日〜平成17年10月31日
5 小坂 憲次 平成17年10月31日〜平成18年 9月26日
6 伊吹 文明 平成18年 9月26日〜平成19年 9月26日
7 渡海紀三朗 平成19年 9月26日〜平成20年 8月 2日
8 鈴木 恒夫 平成20年 8月 2日〜平成20年 9月24日
9 塩谷  立 平成20年 9月24日〜平成21年 9月16日
10 川端 達夫 平成21年 9月16日〜平成22年 9月17日
11 髙木 義明 平成22年 9月17日〜平成23年 9月 2日
12 中川   正春 平成23年 9月 2日〜平成24年 1月13日
13 平野 博文 平成24年 1月13日〜平成24年10月 1日
14 田中眞紀子 平成24年10月 1日〜平成24年12月26日
15 下村 博文 平成24年12月26日〜平成27年10月 7日
16 馳 浩 平成27年10月 7日〜平成28年 8月 3日
17 松野 博一 平成28年 8月 3日〜平成29年 8月 3日
18 林 芳正 平成29年 8月 3日〜平成30年10月 2日
19 柴山 昌彦 平成30年10月 2日〜令和元年 9月11日
20 萩生田光一 令和元年 9月11日〜

引用元→文部科学省サイト「歴代文部科学大臣」

 

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19.教員免許更新制、2023年度から廃止(文部科学大臣が表明)

18.「ことわざ」から大学運営を問う

17.教員免許更新制、廃止の方向へ

16.懲戒後の人事:室伏広治スポーツ庁長官を支える次長

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

13.入学定員の厳格化で救われた不人気大学

12.新自由主義を取り入れた大学の失敗

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方と官僚の大学への天下り

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

18.「ことわざ」から大学運営を問う

こんにちは。

暑くて頭の中でゆで卵ができました。

何も考えられないので、

今日はことわざを基に、大学運営の皮肉を書きます。

皮肉というより単なる愚痴かもしれません。

 

 

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【目次】

1.大学運営を失敗するための「ことわざ」

2.今までの投稿一覧

 

1.大学運営を失敗するための「ことわざ」

 

 

百聞は一見に如かず  

・・・受験生様、オープンキャンパスでの模擬授業は、お上手な先生がなさっています。「一見」を信じこまないでね。

 

時は金なり  

・・・文部科学省の政策はころころと変わりますから、「今が変革のときだ」と判断したならば、すぐに実行のこと。おっと、教授会対策のために事前の根回しを忘れないように。

 

二兎を追う者は一兎をも得ず  

・・・集中と選択を誤る大学は多いです。あれもこれもに経費と労力をかけます。結局、大学の特色が際立たずに、学内は消耗するだけです。

 

三日坊主  

・・・理事長と学長の威勢の良い掛け声。三日間でチェックをしないことが知れ渡り、四日目には面従腹背。

 

塵も積もれば山となる  

・・・「彼は彼女は人が好いから、今回のミスは許そう」「彼は彼女は前職の評判が良いから採用してみよう」が積み重なるという定番の人事。

 

知らぬが仏

・・・本人だけが息巻いていて、周囲は内心しらっとしていますが、念のため「それも一案ですね」とは言っておくのが礼儀というものです。

 

花より団子  

・・・良いカリキュラム作りよりも、何よりも受験者集めが関心事の今日この頃です。

 

 

・・・受験生が集まらない→小手先の改革をする→受験生には分かりにくい→受験生が集まらない→さらなる改革を断行する→そして、だれもこなくなった。
虎の威を借る狐
・・・学内を説得するためには、受験産業の予測とか文部科学省の方針を表に出すと良いですかな?
・・・「学部再編」→「新学部設置」→「就職率UP」→「受験生倍増」

 

 

残り物には福がある  
・・・残り物はありません。一般入試を当てにせず、推薦入試とAO入試で入学者を確保しましょう。

目の上の瘤  
・・・学長「理事長にもっと現場を知ってほしい」。理事長「理念ばかり言う学長さえいなければ」。

 

 

風が吹けば桶屋が儲かる

・・・グローバル化がすすむ→大学受験率が欧州並みに上がる→定員が充足する→経営安定→新学部設置→当然、コケル→収支悪化→人気大学と吸収合併→教職員が左遷。

 

 

ことわざの引用は,
例えが的確すぎる「ことわざ」ランキング(gooランキング)

 

 

愚痴を書いていたら、いよいよ暑くなってきました。

そして、脱力感。

このへんでオシマイ。

 

 

・・・・・・それにしても、疲れたぁー、夏バテでしょうか。

 

・・・・海に行きたいです。

 

 

コロナ感染に気を付けて、家でYouTubeを楽しみます。

 

2.今までの投稿一覧

 

18.「ことわざ」から大学運営を問う

17.教員免許更新制、廃止の方向へ

16.懲戒後の人事:室伏広治スポーツ庁長官を支える次長

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

13.入学定員の厳格化で救われた不人気大学

12.新自由主義を取り入れた大学の失敗

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方と官僚の大学への天下り

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

17.教員免許更新制、廃止の方向へ

こんにちは。

今回は、「教員免許更新制の廃止」について記します。

 

 

 

「教員免許更新制の廃止」が文部科学省で固まりました。
今後は審議会などの議論を経て、廃止が決定する見込みです。

なお、この制度は2007年(平成19年6月)の「改正教育職員免許法」の成立により、2009年(平成21年4月1日)から導入され、12年間も続いています。

2006年に第一次安倍晋三内閣が立ち上げた「教育再生会議」による提言の一つです。

 

目次】

1.教員免許更新制の廃止に関する記事を3点引用

2.そもそも、教員免許更新制とは?

3.もともと、教員免許更新制の導入が無意味だった

4.参考リンク集(「教育再生会議関連」および「教員志願者の減少」関連)

5.今までの投稿一覧

 

1と2は、マスコミや文部科学省サイトの引用です。

3に、私の考えを記しました。

 

 

 

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有限会社エイキまで。

 

 

 

1.教員免許更新制の廃止に関する記事を3点引用

 

 

各社のタイトルでお分かりの通り、次の順で詳しくなっていきます。

 

タイトル:「10年ごとの教員免許更新 廃止へ 文部科学省」

「教員免許更新制」は小中学校や高校などの教員免許の有効期間を10年とし、講習を受けさせたうえで免許を更新する制度で、教員の資質能力の保証を目的に第一次安倍政権のもとで法改正され、2009年度から導入されました。

この制度では30時間以上の講習や3万円ほどの受講料が教員の負担となっているなどと課題が指摘されていて、萩生田文部科学大臣はことし3月に中教審=中央教育審議会に教員免許更新制について抜本的な見直しを行うよう諮問していました。

また、今月5日に文部科学省が公表した教員への調査結果では、講習の総合的な満足度について肯定的な回答は2割弱だった一方、否定的な回答が6割近くに上っていました。

こうした中、文部科学省は多忙な教員の負担感の増加や人材確保への影響などを考慮して、教員免許更新制について廃止する方針を固めたことが関係者への取材でわかりました。

一方、今後も教員の資質能力を確保していくためには、オンラインで受講できる研修の活用や、教育委員会や大学などが提供するプログラムを集約する仕組みなどの検討が必要だとしていて、中教審などでの議論を踏まえ最終的に決定する見通しです。

1分12秒の映像

 

次に「朝日新聞デジタル」(2021年7月12日13時54分)から。

タイトル:「教員免許更新制、文科省が廃止検討 うっかり失効の原因」

 教員免許に10年の期限を設け、更新前に講習を受けないと失効する「教員免許更新制」について、文部科学省が廃止する方向で検討していることが、政府関係者への取材で分かった。教員の資質確保を目的に第1次安倍政権時代の2009年度に始まったが、教員の負担が増え、教員不足の一因にもなっていると、学校現場から批判が出ていた。

 更新制については萩生田光一文科相が3月、中央教育審議会に「抜本的な見直し」を諮問した。中教審では廃止論が大勢で、8月にも廃止の結論を出す見通し。これを受け、文科省は廃止を表明し、来年の通常国会で必要な法改正を目指す方向だ。廃止となった場合、教員が受けてきた30時間以上の更新講習の代わりに、オンラインによる教員研修の充実などが検討されている。

 更新制は「不適格教員の排除」を目的に自民党などが導入を求め、「教員の資質確保」に目的を変えて09年度に始まった。無期限だった幼稚園や小中高校などの教員免許に10年の期限を設け、期限が切れる前の2年間で計30時間以上、大学などでの講習を受けなければ失効するしくみだ。

ただ、夏休みなどに自費で受ける講習は多忙化する教員に不評で、文科省が今月5日に公表した調査では、約6割が講習に不満を抱いていた。更新期限があるため、定年退職前の教員が早期退職する動機となったり、産休や育休をとる教員の代わりに任用する教員が不足したりと、教員不足の一因とも指摘された。また、制度が複雑なため、現職教員が更新を忘れて教壇に立てなくなる「うっかり失効」も相次いでいた。

 これまでの中教審の小委員会で文科省は、都道府県などが行う教員研修をオンラインなどで充実する案を提示した。委員からは「こういうことができれば更新制でなくてもできるのではないか」などと賛同する発言があり、廃止論が大勢となっている。(伊藤和行)

 

最後は「読売新聞オンライン」(2021年7月11日 05:00)です。

タイトル:「【独自】教員免許更新制、廃止へ…「教育再生」掲げたが負担に比べ効果薄く」

 政府は、幼稚園や小中高校などの教員免許を10年ごとに更新する教員免許更新制を廃止する方針を固めた。更新制は教員にとって手間がかかる割に、資質向上の効果が低いと判断した。免許を無期限とする代わりに、教育委員会による研修を充実・強化させる。文部科学省が8月中に中央教育審議会(文科相の諮問機関)に方針を示し、来年の通常国会に関連法改正案を提出する考えだ。

 更新制は、「教育再生」を掲げた第1次安倍内閣時代の2007年の法改正で導入が決まり、09年度から実施された。目的は不適格な教員の排除ではなく、最新の知識・技能の習得だ。文科省の調査によると、昨年3月末が期限だった現職教員のうち、特例による期間延長も含めて免許更新したのは99・43%だった。

 10年の有効期間満了が近づくと、教員は全国の大学などで開かれる更新講座から受講先を選び、申し込む。教育政策の動向や教科指導に関する30時間以上の講習を修了し、教委に申請すれば免許更新が完了する。

 しかし、学校現場からは講習に「実践的ではない」「教委の研修と内容が重複している」などの不満が出ていた。受講時間確保が難しいとの声や、数万円の受講料負担への不満も多い。

 こうした負担感が、教員不足に拍車をかけるとの懸念も出ている。文科省が4~5月、現職教員約2100人を対象に行ったアンケートでは、50代での受講について、36・8%が「早期退職のきっかけとなると思う」と回答した。

 講座の有効性について、文科省内でも、10年に1回では時代の変化に対応できないとの懸念がある。このため、萩生田文科相が3月、更新制の「抜本的な見直し」を含めた教員養成のあり方を中教審に諮問し、制度の再検討を進めていた。

 文科省は、頻繁に実施できる各教委の研修を充実させ、教員の質向上を図る方針だ。情報通信技術を活用して教員の研修履歴を記録・管理し、個人の特性に応じた内容とすることを検討している。場所や時間を問わずに受講できるオンライン研修も拡充する。研修の具体的な内容については中教審で議論する予定だ。

 

 

 

2.そもそも教員免許更新制とは?

 

 

教員免許更新制について、文部科学省のサイト(2021年7月13日時点)を以下にコピーします。

長いですので、冒頭の「目的」箇所(太字にしました)だけでもお読みいただければと思います。

 

目的

 教員免許更新制は、その時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものです。
※ 不適格教員の排除を目的としたものではありません。

基本的な制度設計について

○新免許状(※1)には10年間の有効期間が付されます。
○有効期間を更新して免許状の有効性を維持するには、2年間で30時間以上の免許状更新講習の受講・修了が必要です。
○旧免許状(※2)所持者にも、更新制の基本的な枠組みが適用されます。

※1 平成21年(2009年)4月1日以降に初めて授与された免許状
※2 平成21年(2009年)3月31日以前に初めて授与された免許状
旧免許状所持者が平成21年4月1日以降に新たに免許状を授与された場合も、旧免許状として授与されます。
旧免許状には有効期間は付されませんが、生年月日によって最初の修了確認期限が設定されます。
更新講習修了確認を受けて免許状の有効性を維持するには、2年間で30時間以上の免許状更新講習の受講・修了が必要です。
教員免許状を有効な状態で保持するためには、有効期間満了日又は修了確認期限の2年2か月前から2か月前までの2年間に、
大学などが開設する30時間以上の免許状更新講習を受講・修了した後、免許管理者(都道府県教育委員会)に申請する必要があります。
また、有効期間の延長又は修了確認期限の延期、講習の受講免除が可能な事由に該当する場合、免許管理者(都道府県教育委員会)
に申請することにより、有効期間の延長又は修了確認期限の延期、講習の受講免除が可能な場合があります。

教員免許更新制のおおまかな流れ

(1) 有効期間の満了の日を確認。若しくは最初の修了確認期限を確認。

新免許状所持者の方は、所持している免許状に記載されている有効期間満了日を確認してください。
有効期間の異なる複数の免許状を所持している場合は、その最も遅く満了する日が、自動的に全ての免許状の有効期間満了日となります。
旧免許状所持者の方は各自が必ず下記のページ「表1、表2」を御覧頂き、
最初の修了確認期限 令和   年  月  日を確認してください。
⇒修了確認期限をチェック

(2) 受講資格を確認

免許状更新講習は、受講対象に該当する者のみ受講することができます。
⇒受講対象者について

(3) 各自が文部科学省や大学のホームページ等を確認して、受講したい免許状更新講習を選択 (対面式講習とインターネット等を活用した通信式講習の2種類があります。)

あなたの免許状更新講習受講期間(有効期間の満了の日又は修了確認期限の2年2か月前から2か月前までの2年間)
令和   年  月   日  令和   年  月   日
をご確認下さい。
⇒講習開設情報

(4) 各自が各大学等に受講申込み

受講申込みの際、受講対象に該当している証明が必要になります。(※証明の方法は、各大学等の指定の様式によります)

(5) 各大学等で免許状更新講習を受講します

 

(6) 講習の課程を修了

30時間以上の講習の課程を修了(課程の一部である場合は履修)した場合は、
各大学等から修了認定(履修認定)され、修了証明書(履修証明書)が発行されます。

(7) 有効期間の更新又は更新講習修了確認のための申請

各自が修了証明書又は合算して30時間以上となる履修証明書を添付して、免許管理者(勤務する学校が所在する都道府県教育委員会(現職教員の場合)又は住所地の都道府県教育委員会(現職教員でない場合))に有効期間の更新又は更新講習修了確認のための申請を行う必要があります。
⇒申請先一覧

(8) 有効期間更新証明書又は更新講習修了確認証明書の発行

免許管理者は、申請者が免許状更新講習の課程を修了したことを確認し、有効期間更新証明書又は更新講習修了確認証明書を発行します。

(9) 次回の有効期間満了日又は修了確認期限の確認

次の有効期間満了日又は修了確認期限(10年後)まで持っている全ての教員免許状が有効です。

 

免許状更新講習の受講対象者の拡大について

このたび、「子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部の施行期日を定める政令(平成25年政令第193号)」が平成25年6月26日に公布され、同年7月1日に施行されるとともに、平成25年8月8日より「免許状更新講習規則の一部を改正する省令(平成25年文部科学省令第23号)」が公布され、同日から施行されます。
この改正省令では、幼稚園教諭免許状を保有している認可保育所の保育士が、免許状更新講習を受講できるよう、受講資格が拡大されました。

なお、改正省令の詳細については下記をご参照ください。

教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令等の公布及び施行について(通知)(※国立国会図書館ホームページへリンク)別ウィンドウで開きます

改正箇所
【改正前の免許状更新講習が受講できる対象者】
・ 幼稚園を設置する者が設置する認可保育所及び認可外保育施設の保育士

【改正後の免許状更新講習が受講できる対象者】
・ 認可保育所の保育士
・ 幼稚園を設置する者が設置する認可外保育施設の保育士

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課

 

 

3.もともと、教員免許更新制の導入が無意味だった

 

最後に私の考えを書きます。

「教員免許更新制」に係る「「改正教育職員免許法」が成立した2007年(平成19年)、私は大学の教務部で教職課程を担当していました。

「他の職業ではなく、教員にだけ30時間もの講習を受けさせるとは何ごとだ!!!」
とその時、驚きました。

「この制度を提案した委員(有識者)たちは、『あなたの今の職業を続けるために10年ごとに30時間の講習を受けるべきだ』と命令されたら、どう感じるだろうか?」
と反論したくなった記憶があります。

「委員(有識者)は、ご自分こそ、自身の職業の研修を受けなさい」
と憤りました。

「各教育委員会は既に先生に対して研修を行っている。新たな講習会の内容は、既存の研修会と重複しないのだろうか? 先生や教育委員会の負担が増えるだけではないか」
と気になりました。

「現場の先生方の今後の教育実践に活かせる講義を大学教員が出来るのか?」
と心配になりました。
このことを逆に申せば、
「大学教員の教育能力と大学の運営能力が外部から問われることになる。大学の選別をする指標に使用されるのではないか?」
ということです。

 

これらの危惧を一言で申せば、こうです。

「教育現場の改善がこんな制度で出来ると考えている政治家や文部科学省においては、現実感覚が欠如しているのではないか?」

 

案の定、今になって当時の「有識者」なる構成員を「文部科学省サイト」で調べますと、次の通りです。

構成員としては、「有識者」に「内閣総理大臣、内閣官房長官、文部科学大臣」が加わります。
当時は、順に安倍晋三、塩崎恭久、伊吹文明の3氏でした。

 

 

拡大→「教育再生会議 有識者」

 

なかでも、「教員の資質向上・教員免許の更新制度」を審議した第一分科会の有識者は以下の通りです。

 

拡大→「拡大教育再生会議第1分科会 学校再生分科会名簿」

 

何という豪華な顔ぶれでしょう?

しかし、一般的教員像と合致する方は構成員に見当たりません。

※ 義家弘介氏の後任の宮本延春氏にみ現役の教諭の肩書です。
・2005年に母校豊川高校に就任なさっばかりの方でした。
・現在は教員をお辞めになって、講演活動や著作活動をなさっているようです。
(参考にしたサイト)
「宮本延春オフシャルサイト」
「日本綜合経営協会サイト」
「ウィキペディア 宮本延春」

 

 

【結論】

 

「教員免許更新制」は、教員叩きの世論が高まった時に、その高まりを抑えるためにアリバイ的に作った制度だと私は考えております。

この制度の運用により、先生方の教育に関する知識と技能がどれだけ高まったのでしょうか?

さらには、人的・物理的・時間的・金銭的資源が大量に奪われてきたことを思うに、実に悔しく悲しい思いがします。

今後、文部科学省あるいは政治家が主導となりまたぞろ新たな制度を創設するならば、まずは現場の意見を充分にくみ取る仕組みを作っていただきたいものです。

「政治家やマスコミからの圧力と世論誘導→文部科学省での試案作り→審議会開催によるアリバイ作り→文部科学委員会での審議→国会での決定」、
この現在の流れの当初に、「現場からの要望提出」という段階を制度的に作ることはできないものかと願います。

 

今後の委員会・国会審議に置いて、「教員免許更新制」が必ずや廃止となりますように。

 

 

 

4.参考リンク集

 

【教育再生会議関連リンク】

・第一次安倍晋三内閣が2006年10月閣議決定により設置した
「教育再生会議」

・「教育再生会議」の現在の後継機関は、「教育再生懇談会」を経て、2013年(平成25年)1月に発足した
「教育再生実行会議」

・ご参考まで
「教育再生実行会議」の「最新議事録 2021年6月3日」

 

【教員志願者の減少関連リンク】

以下は、「教員志願者の減少に関する記事」のリンク集です。

今回のブログ内容とは直接にはむすびつきがないものの、なにかしらの接点があると思い載せます。

 

「2021年教育崩壊!?教員採用試験倍率低下にみる問題の核心(アゴラ)」

学校の先生になりたい人が減っている!? 〜教員不足で露見した過剰労働の現実(イミダス)」

「令和2年度(令和元年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況について」

 

 

 

 

5.今までの投稿一覧

 

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16.懲戒後の人事:室伏広治スポーツ庁長官を支える次長

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

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8.新学部の作り方と官僚の大学への天下り

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

16.懲戒後の人事:室伏広治スポーツ庁長官を支える次長

こんにちは。

東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会会長を辞任した森喜朗氏の後任人事が注目されています。

そんな折、室伏広治スポーツ庁長官を支えるスポーツ庁次長を例に、文部科学省における懲戒後の人事について感想を述べます。

 

まずは、2017年1月に発覚した天下り事案からスタートしましょう。

前川喜平事務次官が引責辞任することになった事案と申せば、思いだされる方も多いことでしょう。

 

【目次】

1.文部科学省における再就職等規制違反を振り返る

2.懲戒処分の内容

3.処分内容で一番重い「停職」の職員、藤江陽子氏の今

4.文部科学省の懲戒後の人事への感想

5.日本経済新聞 「文科省天下りで37人処分 最終報告、違法事案62件に」(2017年3月31日)

6.今までの投稿一覧

 

 

1.文部科学省における再就職等規制違反を振り返る

 

事の起こりは、内閣府再就職等監視委員会が文部科学省へ「国家公務員法に規定する「再就職等規制」に違反する旨の調査結果」を通知したことに始まります。

この調査結果は、「Y元文部科学省高等教育局長が早稲田大学大学総合研究センター教授に天下りした事例に関し、2015年に在職中であった文部科学省職員が利害関係のある法人に対し求職活動を行ったこと、および人事課の職員がその法人に職員の情報を提供した」という通知でした。

競争的科学研究費・補助金・奨学金の採択、および学部新設や新プログラムなどにおいて、文部科学省の各大学に対する権限が強化されていた時期です。

文部行政の変化の中、各大学は文部科学省の動向及び実務について敏感でした。
大学側に身を置く者としては、「文部科学省職員を理事や事務局長や教員として受け入れることによる実利と見返りを期待した」としても無理はありません。

しかしながら、2008年末に施行された改正国家公務員法は、現役職員による再就職の斡旋を禁じていました。

この法律をかいくぐるために文教フォーラムを隠れ蓑にして、大学と文部科学省人事課との間で関係付けを取り持ちました。
「文部科学省職員の人材情報」と「大学の求人情報」とのマッチングをしたと見られます。

 

2.懲戒処分の内容

 

文部科学省の内部調査によって、62件の国家公務員法違反が確認されました。

OBである歴代事務次官8名を含む幹部37人が懲戒処分を受けたそうです。

処分内容については、訓告、戒告、文書厳重注意、減給、停職でした。

参考にしたのは日本経済新聞(2017年3月31日)です。
最後にコピーを載せます。

 

3.処分内容で一番重い「停職」の職員の今

 

当時の文部科学省大臣官房人事課長であった藤江陽子氏は、他省の職員の履歴書送付・面談の日程調整の実務まで関わったせいか、処分内容で一番重い「停職3ケ月」。

参考サイト

「文部科学省における再就職等問題に係る調査報告(最終まとめ)概要(2017年3月30日)」

「文部科学省における再就職等問題に係る調査報告(最終まとめ)本文(2017年3月30日)」

文部科学省における再就職コンプライアンスの取組

 

さて、停職3カ月となった藤江陽子元人事課長が、今どのような役職を担っていらっしゃると思いますか?

 

その役職は「スポーツ庁次長」です。(2021年2月17日現在)

室伏広治スポーツ庁長官に次ぐNo2です。

(スポーツ庁の定員は120人)

 

(画像引用:「スポーツ庁組織図」)

 

【2021年9月28日 追記】

・当の藤江陽子スポーツ庁次長は、2021年9月21日付けにて日本学生支援機構に出向(機構のNo2 理事長代理)。
年収は推定1,700万円強→参考:「独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について 」

 

 

4.文部科学省の懲戒後の人事への感想

 

 

地方公務員(および教育公務員)は、「停職3カ月」という重い懲戒の場合、懲戒後の人事において冷や飯を食うことになりますね。

一つの実例→「日本酒1升飲み運転の教諭 停職3か月の懲戒処分 島根(

 

 

ところが、キャリア官僚の場合は異なるようです。

スポーツ庁次長とは、どれくらいの役職なのかは私にはわかりません。

・参考になりそうなのは、次長に次ぐスポーツ庁No3の現審議官が「国立高等専門学校機構理事→官房参事官」を今まで歴任していたということです。
時評社サイト参照)

・高橋道和氏:2015年スポーツ庁次長→2017年7月に文部科学省の初等中等教育局長→飲食接待を受けたとし減給2か月→辞任→東京五輪の組織委員。

 

【2021年9月28日 追記】

・当の藤江陽子スポーツ庁次長は、2021年9月21日付けにて日本学生支援機構に出向(機構のNo2 理事長代理)。
年収は推定1,700万円強→参考:「独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について 」

 

5.日本経済新聞 「文科省天下りで37人処分 最終報告、違法事案62件に」(2017年3月31日)

 

標記記事を載せます。

文部科学省による組織的な再就職あっせん問題で、松野博一文科相は30日、国家公務員法に違反する行為があったなどとして、歴代事務次官8人を含む37人を処分したと発表した。2月の中間まとめ以降、同省の調査で新たに27件の違反が判明。違法事案は2010~16年の計62件となった。うち半数で仲介役のOBを経由せず、現役職員が直接関わっていた。

同省はこれらを盛り込んだ最終報告を29日、政府の再就職等監視委員会に報告した。1月に公表した分を含め、天下り問題での処分者は計43人。同省では過去最多となった。最終報告では2月の中間まとめで違反が確認できないとしていた8件も違法と認定した。

松野文科相は30日、記者会見して謝罪し「国民の信頼を失ったと感じている。文科省の組織風土を改める」と述べた。同省の問題を受け、内閣人事局も全省庁の国家公務員の天下りの実態調査を進めている。

今回処分された37人のうち懲戒処分は16人。前川喜平、山中伸一、清水潔各氏の歴代事務次官を含む5人が最も重い停職(退職者は停職相当)で、11人が減給や戒告。戸谷一夫事務次官ら21人が訓告や文書厳重注意となった。駐ブルガリア大使を務める山中元次官は30日、岸田文雄外相に辞意を伝えた。

再就職の仲介役だった人事課OBの嶋貫和男氏は関与が退官後だったため処分対象から外れた。

国家公務員法は職員が退職者の再就職をあっせんすることなどを禁じている。

最終報告は、08年末に再就職規制が厳しくなったことへの対応として、OBによるあっせんは違法ではないと軽く考えたことで、組織的なあっせんが始まったと指摘。再就職に関する情報は嶋貫氏や別のOBなど様々なルートを通じて人事課や現役職員に伝えられた後、人事課で集約され、意見を聞き調整するために事務次官らと共有することもあった。

今回新たに判明した27件のうち、12年11月にOBが在籍する金融機関が文科省に後任人事の相談をしたケースでは、相談を受けた人事課職員が嶋貫氏に報告。金融機関側との窓口になり、別のOBが就く人事案を幹部らに報告していた。私立大学の振興や助成に関わる私学部長は15年1月、旧知のOBから再就職の希望を聞き、私大に人事情報を提供していた。

同省の調査で明らかになった人事課内の引き継ぎ書類には再就職先を決める手順が記され、この中で嶋貫氏は「某氏」と名前をぼかして書かれていた。政府の再就職等監視委員会の調査に虚偽の回答をする手法も継承されていた。

一方で、違法とされた62件の半数は嶋貫氏を介さず現役職員が直接関わっていた。外務省職員や経済企画庁(現内閣府)元職員の再就職先について、人事課長が大学と情報をやりとりしていた。

文科省の調査班は関係する職員らにヒアリングを計309回実施。調査班によると、処分を受けた職員の一部は違法性を認識していたが、「やめた方がいい」と主張した者はいなかったという。

以上

 

なお、負け知らずの十種競技元日本チャンピオンであり、妄想格闘家の武井壮氏は、室伏広治氏にだけは勝てないそうです。

→日本放送:スポーツ庁長官・室伏広治は「倒せない!」……百獣の王・武井壮が「最強のアスリート」と評価する理由

「最高の生物:室伏編」

 

 

【2021年9月28日 追記】

・当の藤江陽子スポーツ庁次長は、2021年9月21日付けにて日本学生支援機構に理事長代理として出向(機構のNo2)。
年収は推定1,700万円強→参考:「独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について 」

 

 

 

6.今までの投稿一覧

 

16.懲戒後の人事:室伏広治スポーツ庁長官を支える次長

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

13.入学定員の厳格化で救われた不人気大学

12.新自由主義を取り入れた大学の失敗

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方と官僚の大学への天下り

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ~ アドミッション・ポリシーは各大学に任せよ ~

こんにちは。

 

「大学入学共通テスト」が導入されて初めての入学試験の最中です。

鳴り物入り改革であった「記述式問題の導入」と「英語の資格・検定試験の共通テスト」はというと、結局は導入を見送られました。

結構なことだと思います。

参考→「高校生新聞」

 

今回は、これら改革案のキー概念である「アドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)」について、考えます。

具体的には、
・「大学は受験者に対して、入学試験で何を問えばよいのか?」という問題について考えます。

 

【目次】

1.「アドミッション・ポリシー」の意味は? ~その位置づけについて~

2.入学試験で把握すべき3つの学力について ~文部科学省の考え方とは~

3.大学入試は、企業採用試験と同じでよいのか?

4.アドミッション・ポリシー・・・求める学力内容については大学に任せよ

5.今までの投稿一覧

 

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1.「アドミッション・ポリシー」の意味は? ~その位置づけについて~

 

まずは、「学校教育法施行規則 (第四節 認証評価その他 第165条の2」を引用します。

(「認証評価」については、「学校教育法第109条」を参照願います)

 

第百六十五条の二 大学は、当該大学、学部又は学科若しくは課程(大学院にあつては、当該大学院、研究科又は専攻)ごとに、その教育上の目的を踏まえて、次に掲げる方針を定めるものとする。

一 卒業又は修了の認定に関する方針
二 教育課程の編成及び実施に関する方針
三 入学者の受入れに関する方針

 

すなわち、学生を受け入れて送り出すまでの3方針を大学が策定し公開するよう、「学校教育法施行規則」に文部科学省が加えたのです。

(3方針を策定・公表しないならば、大学として認証されませんので、大学にとりましては必須事項となります)

 

なお、大学内、およびマスコミ等では、次のように「出口・中身・入口」と表現されることが多いです。

 

1.(出口についての方針)
「ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)」

2.(中身についての方針)
「カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)」

3.(入口についての方針)
「アドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)」

 

2.入学試験で把握すべき3つの学力について ~文部科学省の考え方とは~

 

文部科学省高等教育局長は毎年、「令和〇年度大学入学者選抜実施要項について」という通知文を各大学長宛に送ってきます。

各大学は、この実施要項に沿って入学試験に関するあらゆる事柄を議論・決定・実行しなければいけないこととなります。

どのようなことが書かれているのかと申しますと、例えば、受験生を評価するにあたりアドミッション・ポリシーに基づき「3つの学力」を把握することが記されています。

 

3つの学力については、このように書かれています。

 

能力・意欲・適性等の評価・判定に当たっては,アドミッション・ポリシーに基づき,学力を構成する特に重要な以下の三つの要素のそれぞれを適切に把握するよう十分留意する。

その際,入学後の教育との関連を十分に踏まえた上で,入試方法の多様化,評価尺度の多元化に努める。
なお,高等学校の学科ごとの特性にも配慮する。

① 基礎的・基本的な知識・技能(以下「知識・技能」という。)
② 知識・技能を活用して,自ら課題を発見し,その解決に向けて探究し,成果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力(以下「思考力・判断力・表現力等」という。)
③ 主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度

 

(引用元:「令和3年度大学入学者選抜実施要項について(通知)」

 

結論としましては、①②③が「学力」を構成する3要素であると文部科学省が主張していることになりますね。

 

3.大学入試は、企業採用試験と同じでよいのか?

 

文部省が主張する学力3要素、まるで企業の採用試験において人事担当者が言いそうな言葉ではないでしょうか?

企業の人事担当者が言いそうな言葉は、例えば、「弊社が皆さんに求める能力は三つあります。それは第一に「知識」。第二に「問題発見解決能力」。第三に「コミュニケーション能力」です」。

大学入学試験で受験生に求める学力が、企業採用試験で学生に求める学力と同じで良いのでしょうか?

 

文部科学省が求める学力の3要素について、順に考えていきましょう。

 

1.① 基礎的・基本的な知識・技能。

これは、理解できます。

 

2.② 知識・技能を活用して,自ら課題を発見し,その解決に向けて探究し,成果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力。

ここからが急に理解不能になります。

何点か挙げます。

・① とは異なり、単語に「能力」が付いていることからが不思議です。

・「知識・技能を活用して,自ら課題を発見し,」とありますが、課題というものは「知識・技能を活用」すれば発見できるのでしょうか?

・「成果等を表現するために必要な思考力・判断力・表現力等の能力」とありますが、成果等を表現するとはどういうことでしょうか?
無言で黙々と作業をこなすタイプ、有言実行・無限実行のタイプ、課題を課題とすら感じないタイプ、それぞれ成果の表現方法は異なります。
そもそも、思考力・判断力・表現等の能力は、成果等を表現するためのものでしょうか?
余りにも表現優先となっている点が不可解です。

 

3.③ 主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度

どのような入学試験をしようとも、この学力は測れないです。
面接を導入しても不可能です。
ましてや、「態度」に対してどのように優劣をつけるのでしょうか?
「態度」の優劣は、嫌みですが面接官の好みでしかありません。

 

②と③の「表現」「多様性」「協働」という単語は、社会一般で流行っている言葉を「要項」に流用しただけなのではないかと思いたくなります。

 

 

4.アドミッション・ポリシー・・・求める学力内容については大学に任せよ

 

「③ 主体性を持ち,多様な人々と協働しつつ学習する態度」。

文部科学省の言葉です。

 

受験生を評価する学力に「多様な人々」と書くくらいならば、同様に「多様な大学」を認めて欲しいものです。

 

5.今までの投稿一覧

 

15.大学入試で受験生に求める学力とは? ーアドミッション・ポリシーは各大学に任せよー

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

13.入学定員の厳格化で救われた不人気大学

12.新自由主義を取り入れた大学の失敗

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方と官僚の大学への天下り

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

 

14.オリンピックボランティア配慮を大学に通知した高等教育局長は今? 

こんにちは。

お久しぶりです。

 

オリンピック・パラリンピックの2021年夏の開催、

はたして可能なのでしょうかねえ?

 

【目次】

1.ボランティアを大学に奨励した義本博司文科省高等教育局長の今

2.大学入試センターの役員報酬

3.故・中曽根氏の合同葬 文科省が国立大に弔意の表明を求める

4.今までの投稿一覧

 

 

1.ボランティアを大学に奨励した文科省高等教育局長の今

 

 

オリンピック期間中、学生がボランティアに参加しやすいように、「学事暦を変更することができる」という旨の通知文が平成30年7月に文部科学省から発信されていました。

 

このことにつきましては、

『5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省』という投稿を2年少し前にupしております。

クリック→投稿記事です。

 

投稿の中で引用した文部科学省の通知文の標記は、以下です。

 

                平成30年7月26日

各国公私立大学長
各国公私立高等専門学校長 殿

               スポーツ庁次長
               今里 讓

               文部科学省高等教育局長
               義本 博司

平成32年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法及び平成31年ラグビーワールドカップ大会特別措置法の一部を改正する法律による国民の祝日に関する法律の特例措置等を踏まえた対応について(通知)

本文略

 

さて、この通知文の発信人の「文部科学省高等教育局長 義本博司氏」は、今何をなさっているのでしょう?

ふと気になり調べてみました。

 

以下は、「朝日新聞デジタル 2019年1月22日」のコピーです。

 

文科省局長、事実上の更迭か 不適切接待で処分、出向へ

柴山昌彦文部科学相は22日、大学などを担当する高等教育局の義本博司局長(57)を大学入試センター理事に出向させる人事を発表した。2020年度から始まる大学入学共通テストの実施などを担当するポストだが、局長クラスがセンター理事に就くのは異例。義本氏は不適切な接待を受けたとして昨年に処分をされており、省内では「事実上の更迭」という見方も出ている。

 柴山氏は会見で、「適材適所を基本として必要な人事を行った」と述べた。

義本氏は17年7月に同局長に就任。同省元幹部2人が逮捕・起訴された汚職事件をめぐり、戸谷(とだに)一夫前事務次官=辞職=らとともに、贈賄側の業者から高額接待を受け、国家公務員倫理規程などに違反したと認定され、9月に減給10分の1(1カ月)の処分を受けていた。

 今月末から始まる通常国会では、消費税の増税分を使った高等教育の負担軽減策などの関連法案が審議される予定。重要法案を担当する局長のこのタイミングでの異動について文科省幹部は「普通はない」と話す。後任の局長には、元大学入試センター理事で、負担軽減策を担当していた伯井美徳・文部科学戦略官(56)が就く。(増谷文生、矢島大輔)

 

記事中の「汚職事件」の概略は、「文部科学省汚職事件」としてウィキペディアに載っています。

また、汚職事件の内容は、以下の通り報道されています。
(3つの媒体記事を引用します)

 

 

 

NHKニュースWEBより

『文部科学省 事務次官ら幹部3人懲戒処分 2人は辞任』

【文部科学省は一連の汚職事件を受けて、先月から弁護士などで作る調査チームを設置して、国家公務員の倫理規程に違反する行為などがなかったか調査していましたが21日、その中間結果と処分について公表しました。

それによりますと、贈賄側の元役員らから飲食の接待を受けたり、タクシー代の支払いを受けたりしたことなどが明らかになったとして、事務方トップの戸谷事務次官を減給3か月、10分の1、高橋初等中等教育局長を減給2か月、10分の1、義本博司高等教育局長を減給1か月10分の1のそれぞれ懲戒処分にしました。

このうち、戸谷事務次官と高橋局長の2人は一連の問題の責任をとり、辞任しました。

国家公務員倫理規程とは
国家公務員への接待が大きな問題となったのは平成10年、当時の大蔵省の官僚が金融機関から過剰な接待を受けたいわゆる「大蔵接待汚職事件」です。

これをきっかけに平成12年に国家公務員倫理法が施行され、あわせて倫理規程も作られました。それによりますと、国家公務員は「職務に関わる利害関係者」から飲食の接待を受けたり、一緒にゴルフをしたりすることが禁止され、違反すると懲戒処分の対象になります。

また、利害関係者以外でも課長補佐級以上の職員が5000円を超える接待を受けた場合には事前に報告が義務づけられました。これが「割り勘」であっても負担額が十分ではない場合には接待を受けたことになるとしています。】一部抜粋

 

 

産経新聞2018/9/21 20:34より

『贈賄業者との「危うい関係」 文科省報告書で接待攻勢の実態浮かぶ』

文部科学省幹部が絡む贈収賄事件を受け、戸谷(とだに)一夫事務次官(61)と高橋道和(みちやす)初等中等教育局長(57)が21日、引責辞任した。省内調査の第1次報告書からは、戸谷氏ら幹部が次々と便宜供与を期待して官僚らを抱き込む「霞が関ブローカー」の接待に応じていた実態が浮かび上がった。事務次官の引責辞任は2代連続。規律意識の低さが改めて問われそうだ。

 報告書は弁護士ら外部有識者による調査・検証チームが幹部職員らへの書面調査や聞き取りなどでまとめた。贈賄罪などで起訴された医療コンサルタント会社元役員の谷口浩司(こうじ)被告(47)との会食を認めたのは、戸谷氏と高橋氏、義本博司高等教育局長(56)、柿田恭良(やすよし)総務課長(53)ら計9人。戸谷氏ら処分された4人はいずれも前国際統括官の川端和明被告(57)=収賄罪で起訴=を介して谷口被告の接待を受けていた。

 戸谷氏は文部科学審議官在任中の平成27年10月、東京・四谷の飲食店で川端被告や谷口被告を含む計7人で会合。6人が銀座のクラブで2次会に参加した。費用は1人計6万円を上回る程度とみられ、戸谷氏と川端被告は負担しなかった。チームは「戸谷氏への供応接待」と判断。社会通念上認められない高額接待と結論付けた。

高橋氏はスポーツ庁次長だった29年6月、谷口被告が設立に関わったスポーツ関係団体の発足記念会に出席。その夜の懇親会に参加したが、費用約2万円相当を支払わなかった。同団体がスポーツ庁の委託事業に採択されており、利害関係があると判断された。

 戸谷氏と高橋氏は、それぞれ元国会議員(当時)や谷口被告が政策顧問を務めていた国会議員との会食だったため、「政治家は利害関係者に当たらない」と考えて参加していたという。

 接待額が最も高かったのは、約11万5千円相当に上った義本氏。29年9月、東京・新橋の飲食店での会合に出席し、銀座のクラブでの2次会やタクシーチケット代も含め接待を受けたとしている。その後、大学入試センターが32年度から導入予定の英語の民間検定試験に、谷口被告と関係があるとみられるフィリピン・セブ島の英語教材開発会社が参入できるか相談を受けたが、義本氏には職務権限がないとされた。

 柿田氏は29年4月、川端被告から会計課長就任祝いの誘いを受け、谷口被告も含む4人で会合。川端被告が負担したと認識しており、訓告にとどまった。

YOMIURI ONLINEより

『接待汚職、文科次官が引責辞任…局長1人も』

【政府は21日午前の閣議で、文部科学省の戸谷とだに一夫次官(61)の辞任を了解した。戸谷氏は、自身を含む省幹部が関わった一連の接待汚職事件の責任を取るため、辞任の意向を固めていた。戸谷氏とともに、事件に関わったコンサルティング業者から接待を受けていた高橋道和みちやす・初等中等教育局長(57)の辞任も閣議了解された。

文科省は21日、戸谷、高橋両氏に加え、義本博司・高等教育局長(56)も接待を受けていたと公表戸谷氏を減給10分の1(3か月)、高橋氏を同(2か月)、義本氏を同(1か月)とする同日付の懲戒処分を発表した。

戸谷氏は文科審議官だった2015年10月、業者や元国会議員らと会食し、少なくとも6万2000円の接待を受けたと認定された。高橋氏はスポーツ庁次長だった17年6月、業者や国会議員らと会食し、少なくとも2万円の接待を受けたと認定された。】

 

減給処分3人組のうち、義本氏は接待額が一多かったものの、職務権限がないとされたようで、辞任にはいたらなかったと推測します。

 

さて、その義本元高等教育局長

「朝日新聞デジタル」記事によりますと、

今は大学入試センターで理事をなさっている様子ですね。

 

大学入試センターのサイト「組織の概要」

 

【2021年9月28日追記】
義本氏は大学センター理事を2019年1月から約2年勤め、
2021年1月総合教育政策局長就任
2021年9月文部科学事務次官就任

 

 

2.大学入試センターの役員報酬

 

 

理事の報酬は、「給与水準公表」によりますと、

・「役員の報酬等の支給状況」記載では、18,182,000円。

・「役員の報酬水準の妥当性について」記載では、

当センターの理事は、多岐に渡る理事長の業務・意思決定を補
佐する立場にあり、とりわけ高等教育行政について高度な専門性が
求められる。理事の報酬月額は、国家公務員指定職俸給表の俸給
月額を踏まえて決定しているが、理事の職務の特性は、上記のとお
り法人化移行前と同等以上の職責であると言える。
また、平成30年度の文部科学省所管の他独立行政法人等の理
事の年間報酬額は、約13,000千円~18,000千円であり、公表対象
年度の役員報酬規程を勘案すると同水準であることから、報酬水準
は妥当であると考える。

 

懲戒処分を受けた事実上の更迭であっても、「理事」(センターのナンバー2)としての出向。

年収が千八百万円!!!

 

おそろしい世界があったものです。

 

 

統治システムを解体して再構築が必要だと感じます。

家の解体でしたら、こちらまで。

 

 

3.故・中曽根氏の合同葬 文科省が国立大に弔意の表明を求める

唐突ですが、以下は、2020年10月14日 20時44分 東京新聞WEBコピーです。

 

 

17日に実施される内閣と自民党による故中曽根康弘元首相の合同葬に合わせ、文部科学省が全国の国立大などに、弔旗の掲揚や黙とうをして弔意を表明するよう求める通知を出したことが、分かった。13日付。識者からは政府の対応に疑問の声が上がっている。
 政府は2日、合同葬当日に各府省が弔旗を掲揚するとともに、午後2時10分に黙とうすることを閣議了解。同様の方法で哀悼の意を表するよう関係機関に協力を要望することも決めた。加藤勝信官房長官は2日付で、萩生田光一文科相にも周知を求める文書を出した。
 文科省はこれに基づき、国立大や所管する独立行政法人、日本私立学校振興・共済事業団、公立学校共済組合などのトップに対し、加藤長官名の文書を添付して「この趣旨に沿ってよろしくお取り計らいください」と記した通知を出した。
 都道府県教育委員会には「参考までにお知らせします」として加藤長官名の文書を送付。市区町村教委への周知を求めた。
 総務省も7日付で都道府県知事や市区町村長に「政府の措置と同様の方法により哀悼の意を表するよう協力をお願いいたします」との文書を発出している。
 日本大の広田照幸教授(教育学)は「今の時代にそぐわない。通知に強制力はなく、各国立大学法人が判断すべきだ。政治家の葬儀で政府がここまでやる必要があるのか、広く議論することが求められる」と指摘した。
 合同葬の費用は国と自民党が折半する方針で、総額は2億円近くに上る。政府は2020年度予算の予備費から約9600万円を計上し「高額すぎる」などの批判が上がった。加藤長官は「新型コロナウイルス対策に万全を期す観点から積み上げた。必要最小限だ」と説明している。(共同)

 

あな、おそろし!
【2021年9月28日追記】
義本氏は大学センター理事を2019年1月から約2年勤め、
2021年1月総合教育政策局長就任
2021年9月文部科学事務次官就任

4.今までの投稿一覧

 

14.オリンピックへのボランティアを大学に通知した高等教育局長は今?

13.入学定員の厳格化で救われた不人気大学

12.新自由主義を取り入れた大学の失敗

11.(結果公表)「大学無償化法」の対象となる大学とは?

10.リクルートキャリアの問題点

9.「大学無償化法」の対象外となる大学とは?

8.新学部の作り方と官僚の大学への天下り

7.大学を舞台とした映画 と 『アニマル・ハウス』

6.専門職大学の審査結果から読み取れること

5.「オリンピック」を御旗にする文部科学省

4.文部科学省による大学調査結果

3.大学授業料減免は、大学に負担させよ。

2.アメリカンフットボールと日本型組織

1.京都大学の立て看板撤去について

 

 

 

13.入学定員の厳格化で救われた不人気大学

こんにちは。

今回は、文部科学省が進めてきた「大学入学定員の厳格化」によって救われた大学について、その仕組みを書きます。

 

【目次】

1.私立大学等経常費補助金について

2.定員を超過して入学させた大学は、補助金減額

3.地方の中小大学は、赤字大学が半数

4.助かったのは、地方大学

5.定員厳格化についての参考サイト

6.文部科学省による補助金カットのルール変更

7.今までの投稿一覧

 

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1.私立大学等経常費補助金について

 

まずは、「私立学校等経常費補助金」なる補助金をご理解願います。

 

簡潔に私立大学の財源について記します。

私立大学の収入源は、学生が支払う学費が約9割、税金である私立学校等経常費補助金が約1割です。

私学にとりましては、この私立学校等経常費補助金が命綱です。

 

2.定員を超過して入学させた大学は、補助金減額

 

都市圏の大学人気のため、地方大学は定員に達しない大学が増えました。

これを防ぐため、「入学定員を超えて入学させる大学に対して補助金を減ずる」と文部科学省は決めました。

すなわち、都市圏の大学が合格者を多く出しすぎて歩留まりが良ければ、定員超過になり補助金カットの恐れが生じます。

 

(引用:大学通信 大学Times Vol.33)

 

3.地方の中小大学は、赤字大学が半数

 

受験者数が少なく定員を満たさない地方の中小規模の大学は赤字続きでした。

下の図が示す通り、地方の中小大学の半数は赤字でした

 

(引用:エコノミストOnline)

 

4.助かったのは、地方大学

 

補助金が支給されるか否かは、私学にとっては死活問題です。

そこで、都市部の人気大学は補助金カットを怖れ、合格者の数を絞りました。

その影響で、都市部人気大学を不合格になった学生は(あるいは受験を敬遠した学生は)地方の中小大学を受験するようになりました。

結果として、地方中小大学にも受験生が増えるようになり入学者が増えました。

定員を満たす大学が増えたということは、学費収入が増え赤字を回避できる可能性が高くなりました。

このことで、安堵している地方大学は多いことでしょう。

 

5.定員厳格化についての参考サイト

 

ご関心を持たれました方は、次のサイトをご覧いただけましたら幸いです。
大変分かりやすいサイトだと思います。
なお、経過が分かり良くするため、記事の日付の古い順に並べました。

1.
2019/01/21
東洋経済ONLINE
都市圏の私立大学が合格者数を減らすわけ
定員管理の厳格化で、大学入試はどう変わる
土居 丈朗 :慶應義塾大学 経済学部教授


2.
2019/7
大学Times Vol.33
定員厳格化が招いた「安全志向受験の加速」
安田賢治:大学通信常務取締役

3.
2019/11/25
エコノミストOnline
中小私大の「大量淘汰」前夜 沈むのはどこだ!
中根正義:毎日新聞編集委員

 

6.文部科学省による補助金カットのルール変更

 

「三大都市圏における入学定員超過や三大都市圏以外の地域における入学定員未充足の改善、三大都市圏に所在する大・中規模大学における入学定員を超える入学者数の縮減といった効果が見られる」(文科省通知文)からか、
あるいは大学からの突き上げがあったのか、受験生の苦労を重んじたのかは分かりませんが、文部科学省は私立学校等経常費補助金の取り扱いを変更しました。

 

変更通知文と変更図のアドレスは、

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/002/002/__icsFiles/afieldfile/2018/09/19/1409177.pdf

 

 

以下は、上記アドレスの文章です。

 

30文科高第454号
私振補 第 4 9 号
平成30年9月11日

学校法人 理事長 殿
文部科学省高等教育局
私学部長 村 田 善 則
(公印省略)

日本私立学校振興・共済事業団
理事長 清 家 篤
(公印省略)

平成31年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について(通知)

標記について、下記のとおり実施することとしましたのでお知らせします。

 

 

1.
超過入学者数に応じた学生経費相当額を減額する措置について

平成27年7月10日付27文科高第361号及び私振補第30号で通知した「平成28年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について(通知)」において、「平成31年度から、入学定員充足率が1.0倍を超える入学者がいる場合、超過入学者数に応じた学生経費相当額を減額する措置を導入する。」としていたことについては、平成28年度から平成30年度までの3年間にわたって段階的に実施した不交付となる入学定員超過率の厳格化により、三大都市圏における入学定員超過や三大都市圏以外の地域における入学定員未充足の改善(※1)、三大都市圏に所在する大・中規模大学における入学定員を超える入学者数の縮減(※2)といった効果が見られることや、後記「2.入学定員充足率が1.0倍以下の場合の増額措置」を実施することになっていることを踏まえて、当面実施を見送り、後記措置の実施状況及び効果等を検証しつつ、3年後を目途に実施の要否を検討することとする。

※1 私立大学の入学定員充足率の推移
三大都市圏   その他の地域
平成26年度 106.22%   95.87%
平成30年度 103.18%  100.81%
出典:私立大学・短期大学等入学志願動向(日本私立学校振興・共済事業団)

※2 三大都市圏の大・中規模大学(収容定員 4,000 人以上)における入学定員を超える入学者数

平成26年度 27,479人 → 平成29年度 19,648人
(日本私立学校振興・共済事業団において補助金算定に用いたデータによる。)

2.
入学定員充足率が1.0倍以下の場合の増額措置について

同通知において、「入学定員充足率が0.95倍以上、1.0倍以下の場合には、一定の増額措置を行う」としていたことについては、入学定員のより厳格な管理及び学生確保に向けたより一層の努力を促す観点から、入学定員充足率が0.9倍以上、1.0倍以下の場合には、下表の「学部等ごとの入学定員に対する入学者数の割合(入学定員充足率)による増減率」により補助金の基準額(経常的経費×補助率)を増額する措置を平成31年度より行うこととする。

【学部等ごとの入学定員に対する入学者数の割合(入学定員充足率)による増減率】
※医歯学部を除く
入学定員充足率 100%~95%  94%~90%
増額割合    + 4%     + 2%

○別添資料:私学助成における定員管理の適正化について

本件連絡先
文部科学省高等教育局私学部私学助成課
TEL:03-5253-4111(内線2028)
日本私立学校振興・共済事業団助成部補助金課
TEL:03-3230-7297

 

〔参 考〕

◆平成 28 年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について
(通知)(平成 27 年 7 月 10 日 27 文科高第 361 号・私振補第 30 号)抄

1~2 (略)
3. 基準改正の内容
(1)(略)
(2) 入学定員を上回る学生分の減額等
平成 31 年度から、入学定員充足率が 1.0 倍を超える入学者がいる場合、超過入学者数に応じた学生経費相当額を減額する措置を導入する。現在の一般補助における教育研究経常費等の算定の中でも、学部において収容定員充足率が 1.0 倍を超えている学生分は措置していないが、平成 31 年度からは、入学定員充足率が 1.0 倍を超える入学者に見合う額をさらに減額する予定である。一方で、定員管理の適正化に向けた努力をする中で、結果として定員を下回ることも考えられることから、入学定員充足率が 0.95 倍以上、1.0 倍以下の場合には、一定の増額措置を行う予定である。
(中略)
本取扱については、新しい算定基準であるため、平成 30 年度までの私立大学等経常費補助金が不交付となる定員充足率の厳格化の状況も勘案しつつ、詳細の基準については引き続き検討していくこととする。
以下(略)

 

筆者注

別添資料は省略。先のアドレスからご覧願います。

 

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