こんにちは。
今回は、文部科学省が進めてきた「大学入学定員の厳格化」によって救われた大学について、その仕組みを書きます。
【目次】
1.私立大学等経常費補助金について
2.定員を超過して入学させた大学は、補助金減額
3.地方の中小大学は、赤字大学が半数
4.助かったのは、地方大学
5.定員厳格化についての参考サイト
6.文部科学省による補助金カットのルール変更
7.今までの投稿一覧
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1.私立大学等経常費補助金について
まずは、「私立学校等経常費補助金」なる補助金をご理解願います。
簡潔に私立大学の財源について記します。
私立大学の収入源は、学生が支払う学費が約9割、税金である私立学校等経常費補助金が約1割です。
私学にとりましては、この私立学校等経常費補助金が命綱です。
2.定員を超過して入学させた大学は、補助金減額
都市圏の大学人気のため、地方大学は定員に達しない大学が増えました。
これを防ぐため、「入学定員を超えて入学させる大学に対して補助金を減ずる」と文部科学省は決めました。
すなわち、都市圏の大学が合格者を多く出しすぎて歩留まりが良ければ、定員超過になり補助金カットの恐れが生じます。
(引用:大学通信 大学Times Vol.33)
3.地方の中小大学は、赤字大学が半数
受験者数が少なく定員を満たさない地方の中小規模の大学は赤字続きでした。
下の図が示す通り、地方の中小大学の半数は赤字でした
(引用:エコノミストOnline)
4.助かったのは、地方大学
補助金が支給されるか否かは、私学にとっては死活問題です。
そこで、都市部の人気大学は補助金カットを怖れ、合格者の数を絞りました。
その影響で、都市部人気大学を不合格になった学生は(あるいは受験を敬遠した学生は)地方の中小大学を受験するようになりました。
結果として、地方中小大学にも受験生が増えるようになり入学者が増えました。
定員を満たす大学が増えたということは、学費収入が増え赤字を回避できる可能性が高くなりました。
このことで、安堵している地方大学は多いことでしょう。
5.定員厳格化についての参考サイト
ご関心を持たれました方は、次のサイトをご覧いただけましたら幸いです。
大変分かりやすいサイトだと思います。
なお、経過が分かり良くするため、記事の日付の古い順に並べました。
1.
2019/01/21
東洋経済ONLINE
都市圏の私立大学が合格者数を減らすわけ
定員管理の厳格化で、大学入試はどう変わる
土居 丈朗 :慶應義塾大学 経済学部教授
2.
2019/7
大学Times Vol.33
定員厳格化が招いた「安全志向受験の加速」
安田賢治:大学通信常務取締役
3.
2019/11/25
エコノミストOnline
中小私大の「大量淘汰」前夜 沈むのはどこだ!
中根正義:毎日新聞編集委員
6.文部科学省による補助金カットのルール変更
「三大都市圏における入学定員超過や三大都市圏以外の地域における入学定員未充足の改善、三大都市圏に所在する大・中規模大学における入学定員を超える入学者数の縮減といった効果が見られる」(文科省通知文)からか、
あるいは大学からの突き上げがあったのか、受験生の苦労を重んじたのかは分かりませんが、文部科学省は私立学校等経常費補助金の取り扱いを変更しました。
変更通知文と変更図のアドレスは、
以下は、上記アドレスの文章です。
30文科高第454号
私振補 第 4 9 号
平成30年9月11日
学校法人 理事長 殿
文部科学省高等教育局
私学部長 村 田 善 則
(公印省略)
日本私立学校振興・共済事業団
理事長 清 家 篤
(公印省略)
平成31年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について(通知)
標記について、下記のとおり実施することとしましたのでお知らせします。
記
1.
超過入学者数に応じた学生経費相当額を減額する措置について
平成27年7月10日付27文科高第361号及び私振補第30号で通知した「平成28年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について(通知)」において、「平成31年度から、入学定員充足率が1.0倍を超える入学者がいる場合、超過入学者数に応じた学生経費相当額を減額する措置を導入する。」としていたことについては、平成28年度から平成30年度までの3年間にわたって段階的に実施した不交付となる入学定員超過率の厳格化により、三大都市圏における入学定員超過や三大都市圏以外の地域における入学定員未充足の改善(※1)、三大都市圏に所在する大・中規模大学における入学定員を超える入学者数の縮減(※2)といった効果が見られることや、後記「2.入学定員充足率が1.0倍以下の場合の増額措置」を実施することになっていることを踏まえて、当面実施を見送り、後記措置の実施状況及び効果等を検証しつつ、3年後を目途に実施の要否を検討することとする。
※1 私立大学の入学定員充足率の推移
三大都市圏 その他の地域
平成26年度 106.22% 95.87%
平成30年度 103.18% 100.81%
出典:私立大学・短期大学等入学志願動向(日本私立学校振興・共済事業団)
※2 三大都市圏の大・中規模大学(収容定員 4,000 人以上)における入学定員を超える入学者数
平成26年度 27,479人 → 平成29年度 19,648人
(日本私立学校振興・共済事業団において補助金算定に用いたデータによる。)
2.
入学定員充足率が1.0倍以下の場合の増額措置について
同通知において、「入学定員充足率が0.95倍以上、1.0倍以下の場合には、一定の増額措置を行う」としていたことについては、入学定員のより厳格な管理及び学生確保に向けたより一層の努力を促す観点から、入学定員充足率が0.9倍以上、1.0倍以下の場合には、下表の「学部等ごとの入学定員に対する入学者数の割合(入学定員充足率)による増減率」により補助金の基準額(経常的経費×補助率)を増額する措置を平成31年度より行うこととする。
【学部等ごとの入学定員に対する入学者数の割合(入学定員充足率)による増減率】
※医歯学部を除く
入学定員充足率 100%~95% 94%~90%
増額割合 + 4% + 2%
○別添資料:私学助成における定員管理の適正化について
本件連絡先
文部科学省高等教育局私学部私学助成課
TEL:03-5253-4111(内線2028)
日本私立学校振興・共済事業団助成部補助金課
TEL:03-3230-7297
〔参 考〕
◆平成 28 年度以降の定員管理に係る私立大学等経常費補助金の取扱について
(通知)(平成 27 年 7 月 10 日 27 文科高第 361 号・私振補第 30 号)抄
1~2 (略)
3. 基準改正の内容
(1)(略)
(2) 入学定員を上回る学生分の減額等
平成 31 年度から、入学定員充足率が 1.0 倍を超える入学者がいる場合、超過入学者数に応じた学生経費相当額を減額する措置を導入する。現在の一般補助における教育研究経常費等の算定の中でも、学部において収容定員充足率が 1.0 倍を超えている学生分は措置していないが、平成 31 年度からは、入学定員充足率が 1.0 倍を超える入学者に見合う額をさらに減額する予定である。一方で、定員管理の適正化に向けた努力をする中で、結果として定員を下回ることも考えられることから、入学定員充足率が 0.95 倍以上、1.0 倍以下の場合には、一定の増額措置を行う予定である。
(中略)
本取扱については、新しい算定基準であるため、平成 30 年度までの私立大学等経常費補助金が不交付となる定員充足率の厳格化の状況も勘案しつつ、詳細の基準については引き続き検討していくこととする。
以下(略)
筆者注
別添資料は省略。先のアドレスからご覧願います。
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